会社の倒産で経営者も破産・・・自己破産すると車はどうなる?車を残す方法やローンの対応を弁護士が徹底解説!

更新日: September 23, 2020 3:00 AM

経営者・家族の守り方

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Q 経営者からの質問

 数年前から会社を経営していましたが、ここ最近主要な取引先がいくつか倒産してしまい、私自身の会社も倒産することになってしまいました。私が会社の融資に連帯保証人として含まれているため、私自身の財産も没収されてしまうのでしょうか?実は、実は、数年前に購入した車がとても気に入っており、どうにか手放さずに手元に残しておきたいと思っています。
 何か良い方法は無いのでしょうか。教えて下さい。

A 弁護士からの回答

 あなたが経営者として会社の連帯保証人になってしまっている以上、ご自身の自己破産は避けられないかもしれません。会社の債務は個人ですぐに返済できるほど小さな額では無いからです。
 しかし、自己破産をすることになった場合でも、適切な対応を取ることで車を残すことは可能です。この記事では、自己破産時に車を残す方法や、残せない場合の条件について解説しています。まずは読んでみて下さい。

会社が倒産・破産すると経営者の自己破産は必須?自己破産せずに車を残す方法も!

会社が倒産・破産すると経営者の自己破産は必須?自己破産せずに車を残す方法も!

 会社が倒産・破産するとなると、経営者も同時に自己破産しなければならないことは決して珍しくはありません。自己破産をすることになると、経営者自身の財産も没収されることになり、当然自宅や車もその対象の一部になることが大半です。

しかし、会社が倒産・破産するからといって、必ずしも経営者も自己破産しなければいけないかというと、そんなことはありません。

この記事では、会社の倒産・破産に合わせて経営者の自己破産も必要になってしまうケースをはじめに解説し、その後経営者が自己破産しても車を残すためにできることについて解説していきます。

また、車と同じく自己破産時に質問の多い、自己破産しても自宅(持ち家)を残すためにできることについても、別の記事で解説しているので読んでみて下さい。

会社の倒産・破産で経営者も自己破産が必要な場合

 実際に、会社の倒産・破産時に経営者も自己破産が必要になるのは以下のケースです。

会社の債務(借金)に経営者が連帯保証人として含まれており、経営者個人で弁済ができない場合 会社が合同会社・合資会社の場合 経営者が会社から借金をしており、会社の倒産・破産時に返済できない場合

 このように、会社が倒産・破産した際に経営者が自己破産をしなければいけなくなるのは、会社の債務(借金)を連帯保証人や合同会社・合資会社の社長として引き継いでしまう場合や、個人として会社から借金をしており、その返済ができなくなってしまった場合です。

このような場合以外では、たとえ会社が倒産・破産してしまったとしても、経営者個人の財産が持っていかれることはありません。しかし、もしいずれかのケースに当てはまってしまった場合は、経営者個人も自己破産をして債務を清算する必要が出てくることを覚えておきましょう。

会社の倒産・破産に合わせて自己破産が必要な場合はすぐに弁護士に相談

 もし、あなたが経営者として会社の倒産・破産とともに会社の借金を背負うことになってしまうのであれば、会社の資金繰りが悪くなった時点で、すぐに弁護士に相談することをお勧めします。早い段階から弁護士に相談することで、たとえ自己破産が必要になったとしても、ご自身やご家族の生活への影響を最小限に抑えることができるからです。

この記事では、自己破産する際の車の残し方に焦点を当てて解説していますが、特定の財産に限らず自己破産をしても経営者自身やご家族の生活を守るためにできることは、以下の記事からそれぞれ確認してみて下さい。

会社の倒産・破産で連帯保証人の経営者も自己破産。自身の生活を最大限守るためにできること 会社の倒産・破産の影響から経営者の家族と子供を守る適切な方法とは

会社の倒産・破産で経営者も自己破産・・・車はどうなる?車を残すための5つの方法

会社の倒産・破産で経営者も自己破産・・・車はどうなる?車を残すための5つの方法

 自己破産と聞くと、全ての財産が身ぐるみ持っていかれてしまうイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし実際はそんなことも無く、場合によっては車を残すことも可能です。

ここからは、実際に自己破産をすることになった場合でも、車を残す方法について解説していきます。

1. 車の査定額が20万円以下なら自己破産しても車を残すことができる!

 まず、自己破産をしても車を残せるケースの一つ目として、『車の査定額が20万円以下の場合』というのが挙げられます。

自己破産をするとなると、個人で持っている財産を査定し、実際の手続きの中でその財産を換価して借金の返済に使用することになります。しかし、この時車の査定額が20万円以下であれば債務の生産には使用されず、自動的に車を残すことは可能です。

2. 自己破産前に車の名義を変更し残す方法

 次に、『自己破産前に家族や親戚に車を買い取ってもらい名義を変更する』ことで、車を残すという方法があります。この方法であれば、たとえ車の査定額が20万円以上の場合でも車を残すことは可能です。

名義変更をすれば、実質的にその車は自己破産をする経営者のものでは無くなるため、自己破産手続きで没収されることは無くなるのです。

しかし、名義変更をする際には注意が必要です。

当然、自己破産手続きの中で債務の清算に使用されるはずだった財産(車)を無料で他の人に贈与してしまっては、債権者(破産者から支払いを受けるはずだった人)がお金を受け取ることができなくなります。

そのため、無料での名義変更は禁止されています。(詳しくは、記事後半の自己破産前に不当に車の名義を変更してはいけないで解説しています。)

そこで、名義変更をして車を残す場合、破産管財人(破産手続きを行う弁護士)が合意した適切な金額で車を買い取ってもらい、その金額を借金返済に当てることになります。

経営者個人が自己破産をする場合でも、家族で車を頻繁に使用する場合には車を家族名義で買い取り、車を残すことは珍しくありません。

3. 自己破産で残ったお金で自ら買い取ることで車を残す方法

 自己破産手続きでは、99万円以下の財産を手元に残すことができます。そのため、自己破産をする個人は99万円を現金として残すことや、車や保険などの一部の財産を残す代わりに、手元に残せる現金を減らすなど比較的柔軟に選択することができます。(自由財産の拡張と言います。)

これを利用し、たとえ車の査定額が20万円を上回っている場合でも、本来自身に残る99万円の手元資金の一部を使って車を買取り、車を残すということも可能です。

しかし、この自由財産の拡張も完全に自由に行えるわけでありません。実際の自己破産手続きでは、裁判所からの許可が必要になるケースもあるからです。 もしこの自由財産の拡張を利用して自己破産後も車を残したい場合は、一度ご自身の状況と共に弁護士に相談してみることをお勧めします。

4. 自己破産しても、田舎での生活や親の介護など特別な理由があれば車を残すことができることも

 車の査定額が20万円以上の場合でも、その車が生活に必要不可欠なものであると判断された場合も、車を残せる可能性はあります。主に該当するのは以下のようなケースです。

田舎での生活で、車が無いと日常生活を送ることができない場合 親の介護を行なっており、車がどうしても必要な場合

自己破産手続きは、個人の持っている財産を清算してその時抱えている借金(債務)をリセットするという手続きですが、自己破産する個人が必要最低限の生活を送れなくなってしまうほど、身ぐるみ剥がされてしまうわけではありません。いわば、新たな社会生活のリスタートに向けて借金をリセットするための制度とも言えます。

そのため、自己破産をするとしても、車がどうしてもあなたの日常生活に必要不可欠だということが理解されれば、車を残すことは可能かもしれません。

この場合も、どのような事情で車が必要不可欠なのか、まずは弁護士に相談してみましょう。

5. 個人(民事)再生や自己破産以外の債務整理手続きを行い車を残す

 最後に、会社が倒産・破産し、会社の借金を経営者個人も背負うことになる場合、自己破産をせずに民事(個人)再生などの他の債務整理を行うことで、車を残す方法も存在します。

自己破産手続きと民事再生手続きの違いで詳しくは解説していますが、民事再生手続きでは借金を減額し支払い続ける代わりに、一部の財産を残すことができます。

当然、減額すれば借金を返済し続けることができると証明できれば、個人(民事)再生手続きを行うことも可能です。しかし、借金の減額幅や、返済のスケジュールについては債権者と交渉し、合意しなければいけません。

この債権者との交渉も、弁護士に依頼することで対応を一任することができます。また、民事(個人)再生手続きは当然一定の資金力が無ければ厳しいため、ギリギリで依頼してもできないケースが大半です。

もし、どうしても自己破産は避けたい場合や、自己破産せずに車を残したい場合には今すぐに弁護士に相談し、まずは民事(個人)再生を行うことが可能なのか確認することをお勧めします。

自己破産で車が残せない場合とは?

自己破産で車が残せない場合とは?

ここまで、会社の倒産・破産に伴い、経営者も自己破産が必要な場合に、自身の車を残すための方法について解説してきました。

しかし、当然ですが自己破産をしても必ず車が残せるわけではありません。 ここでは、実際にどのようなケースだと車を残すことができないのか、解説していきます。

車の査定額が20万円以上の場合、自己破産手続きで車を残すことはできない

まず、はじめに挙げられるのが『車の査定額が20万円以上の場合』です。

通常、自己破産手続きの中で車の価値が査定され、20万円以上と判断された場合、会社の倒産・破産で経営者も自己破産・・・車を残すための5つの方法で解説している対応を取らなければ、そのまま車は没収され借金の返済に使用されることになってしまいます。

自己破産時に車がローン中の場合

次に車のローンが残っている場合です。

車がローン中で支払いが終わっていない段階では、車の所有権はローン会社になります。そのため、もしあなたが自己破産をしなければいけない状況で車のローンが残っていると、車はすぐにローン会社の没収されてしまうのです。

実際に、車の引き上げは非常に早く、通常は自己破産をしようと弁護士が受任通知を送ってから1週間程度で行われてしまいます。

仮に、ローンを支払っている途中でもどうしても車を残したい場合は、まずはローンの残りを家族や親戚などの第三者に一括で支払ってもらう必要があります。(第三者弁済と言います。)ここで、重要になるのが、車がローン中の場合、自己破産前にローン会社への一括返済はNGにて詳しく解説している通り、決して自己破産をするご自身で返済を行なってはいけないということです。

また、家族などの第三者がローンを一括で支払った場合でも、その時点での車の所有者は自己破産をする本人のものとなってしまいます。そのため、車を残すためには、ここからさらに車の名義を変更する必要があるのです。

自己破産前に車の名義を変更し残す方法

車が会社名義の場合

最後に、会社の倒産・破産と同時に経営者が自己破産しなければならないケースでよくあるのが、会社名義の車を経営者自身やご家族が使用している場合に、この会社名義の車が処分されてしまい、日常生活影響が生じるケースです。

しかし、当然会社が倒産・破産するとなると、会社の財産は全て換価され借金返済の原資に当てられます。そのため、会社が倒産してしまえば、この会社の財産である車を残すことは基本的にできないと覚えておきましょう。

会社倒産・破産で経営者も自己破産・・・車を残したくてもやってはいけないこと

会社倒産・破産で経営者も自己破産・・・車を残したくてもやってはいけないこと

 ここまで、自己破産をすることになってしまった際の、「車を残す方法」や「車を残せない場合」について説明してきました。

しかし、仮に自己破産をしなければいけない状況の中で、車やその他の財産を残したいという理由でも手続き上やってはいけないことが存在します。

特に、自己破産手続きで不正がバレると、本来リセットできるはずだった借金をそのまま背負い続けなくてはいけなくなる(免責できなくなる)ため、以下の行動には注意して下さい。

自己破産前に不当な名義変更で家族などの第三者に車を贈与し残そうとするのはNG

 まず、自己破産をすることになってしまった場合、車を残したいという理由で車の名義を不当に変更し残そうとするケースがありますが、これはやってはいけません。

確かに、自己破産前に車の名義を変更し残す方法で解説している通り、車の名義を変更し自己破産手続き後も車を残すことができるのは事実です。

しかし、名義変更し車の所有者を変更するには、適切な価格で買い取ってもらい、受け取ったお金は自己破産手続きの中で借金返済に当てなければいけません。しかし、無料で名義変更を行ったり、破産管財人(自己破産手続きを行う弁護士)と同意が取れていない金額で販売し名義を変更することは破産手続きの違反行為になってしまいます。

こうすることで、本来免責(借金をリセットする)できるはずだった債務も免責できずに、借金を背負い続けるという自体にもなりかねません。

仮に、名義変更によって車を残したいと考えているのであれば、自己破産手続きが始まる前に弁護士に相談し、事前に適切な金額を把握しておきましょう。

車がローン中の場合、自己破産前にローン会社への一括返済はNG

 また、車のローンが残っている場合に、このローンを経営者自身の資金で一括で支払い返済しようとすることもやってはいけません。

なぜなら、自己破産することになった個人が持っている財産は、全て自己破産手続きの中で債権者(お金を受け取る権利を持った人)に対して平等に分配されることになるため、ローン会社にだけお金を支払うことは禁止されているからです。(偏頗弁済と言います。)

偏頗弁済のケースも同様に、自己破産手続きの中で発覚すると、最悪の場合免責を受けられなくなってしまいます。自己破産をしなけれいけないが、どうしても車は残したいと考えるのであれば、倒産や破産手続きに精通した弁護士にまずは相談することをお勧めします。

自己破産で車は残せなくても、破産手続き後に車を購入することも可能

自己破産で車は残せなくても、破産手続き後に車を購入することも可能

 自己破産手続きで車を残すことができなかった場合でも、別の選択肢として破産手続き後にすぐに別の車を再度購入するということも可能です。

実際に、一旦自己破産手続き時には車の査定額が20万円以上なため没収されてしまったが、自己破産手続き後にすぐ別の中古車を購入して利用するというケースも珍しくありません。

自己破産手続き後に得た財産は、差し押さえられることもなく当然ご自身の財産として自由に使用することができるようになります。そのため、会社が倒産・破産し経営者自身が自己破産しなければいけない状況でも、すぐに破産手続きを行い債務を清算してしまえばその後得た収入で新しい車を購入することは全く問題が無いのです。

会社を倒産・破産させてしまった経営者の方は特に、その後の再就職について疑問に思うかもしれません。詳しくは、以下の記事の解説をご覧下さい。

会社の倒産・破産後、経営者の転職・再就職は可能?家族の生活費のため、いつから新たな仕事に取り組めるのか

自己破産後もどうしても車を残したい場合は、弁護士に最適な方法をまずは相談!

いかがでしたでしょうか。

ここまで、自己破産をしなければいけない状態で、車をどうしても残したい場合にできることや、車を残せない条件について解説してきました。

車は自宅と並んで、日常生活に大きく関わる場合もあるため、自己破産の際にどうにか残せ無いかと相談を受けることも多いです。

それぞれ、借金の額やどれくらい手続きの準備に時間を割けるかによって、適切な対応が変わってくることも事実です。また、会社倒産・破産で経営者も自己破産・・・車を残したくてもやってはいけないことで解説している通り、対応を誤ると借金をリセット(免責)できずに、自己破産後も取り立てや督促などに追われれ続け兼ねません。

まずは、会社の倒産・破産や自己破産に精通した弁護士に相談することを強くお勧めします。どうしても車を残したいという事情を説明することで、状況に応じた適切な対応を理解することができます。

弁護士に実際に相談する際のメリットや、相談前の準備についてはそれぞれ別の記事で解説しているので確認してみて下さい。

会社の倒産・破産前に弁護士に相談するメリット 会社の破産・倒産危機に必須の弁護士相談。依頼までの流れや相談前の準備とは?

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

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