会社の倒産・破産危機でも社長の夜逃げはNG!その後の家族生活や会社への影響は?

更新日: September 2, 2020 3:00 AM

倒産後の不安・影響

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Q 経営者からの質問

 会社を経営していますが、借金を返すメドが立たず、督促も続いて家族も含めて精神的にとても辛いです。一生、借金に追われながら生活をすることは考えられません。正直、夜逃げをして借金から逃れることを考えています。夜逃げが良いことでないのは理解していますが、夜逃げをするリスクを知りたいです。

A 弁護士からの回答

 結論から言うと、夜逃げはやめるべきです。夜逃げをすれば借金から逃れることができそうに思うかもしれませんが、夜逃げをしてもメリットは非常に小さいです。一時的に取り立てから逃れることができても借金は基本的に消えないため、夜逃げをすることによって、むしろ今後の人生でずっと取り立ての恐怖を感じながら生活しなければならなくってしまいます。
 既に会社の資金繰りが回っていないのであれば、夜逃げをするのでは無く、今すぐに弁護士に依頼し会社を倒産・破産させましょう。そうすることで、借金や負債を消すことができ、取り立ても止まります。もしあなたが連帯保証人になっていたとしても、自身の財産の一部は失うかもしれませんが、借金を清算することでまた一からスタートすることが可能です。
 この記事では、社長が夜逃げをしてしまった場合、その後自身やご家族の生活がどうなるのかや、会社や残された従業員に与える影響について解説しているのでまずは読んでみて下さい。

社長の夜逃げはデメリットだらけ!督促や取り立てに悩んでも会社の倒産・破産手続きをすることで借金・債務のリセットは可能

社長の夜逃げはデメリットだらけ!督促や取り立てに悩んでも会社の倒産・破産手続きをすることで借金・債務のリセットは可能

 この記事では、会社の倒産・破産手続きを行うことなく、社長が夜逃げをしてしまうとその後の家族との生活や、会社、従業員にどのような影響があるのか解説していきます。

 冒頭にも書いたように、夜逃げはメリットが非常に少ないので全くお勧めしません。 たとえ夜逃げに成功したとしてもその後の生活は不便なことが多いだけではなく、精神的にも辛いものになってしまいます。また、他人にも様々な迷惑をかけることになります。夜逃げをしなくても、あなたが借金・債務から解放される道はあります。だからこそ、夜逃げは止めましょう。

夜逃げよりも圧倒的にメリットが大きい選択肢は、ズバリ倒産・破産をすることです。すぐに弁護士に相談し会社の倒産・破産手続きを開始しましょう。倒産・破産手続きを行うことで、これまでの借金・債務をリセットし人生の再スタートが切れるからです。

 また、もし会社の倒産・破産手続きに必要な費用が無く、夜逃げを考えているのであれば、記事の後半の会社の倒産・法人破産費用が払えない場合は、夜逃げをせずにまずは弁護士に対応を相談!を確認してみて下さい!

夜逃げがNGな理由。会社の借金が返せないまま倒産・破産前に社長が夜逃げした場合、その後の生活や家族・子供への影響は?

夜逃げがNGな理由。会社の借金が返せないまま倒産・破産前に社長が夜逃げした場合、その後の生活や家族・子供への影響は?

 ここからは、倒産危機の会社で資金繰りが悪化し、借金が返せなくなってしまった社長が夜逃げをするデメリット、「なぜ夜逃げはNGなのか」を詳しく説明していきます。まず一番大きな理由は、その後の家族生活へ悪影響があることです。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響①:住民票を移すことができず、住民票が抹消されるリスクも

 まず、倒産・破産手続きを行う前に社長が夜逃げをしてしまうと、社長は新しい居住地に住民票を移すことができなくなってしまいます。

 通常、お金を借りる際は、借りた本人の名前や住所、電話番号を契約書に記入します。そして支払いが滞納されると債権者はこの電話番号に電話をして取り立てを行ったり、記載されている住所に督促状を送ることで支払いの催促を行ってきます。

 そのため、住民票を移さずに夜逃げをすれば債権者はあなたの新しい住所を知ることができなくなり、一時的には債務(借金)の取り立てから逃れることが可能になります。

 しかし、これは言い換えると、住民票を移してしまうと、新しい住所が住民票に載ることになってしまうため、債権者からの取り立てが続くことを意味します。それでは夜逃げの意味がありませんので、夜逃げをすると必然的に住民票を移すことができなくなってしまうのです。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響②:免許証や健康保険証の更新や年金の納付ができなくなる

 では住民票を移せないと何が問題なのでしょうか?実は住民票を移せないと、家族も含めて免許証や健康保険証の更新ができなくなってしまいます。つまり身分証明書の提示ができなくなりますし、健康保険証の更新ができないということは病院で保険を使うことができなくなり、医療費を全額支払う必要が出てきます。健康保険は医療費の70%程度をカバーしてくれるものです。もし保険証無しで病院にかかると、今まで支払っていた金額の3倍以上の医療費を支払わなければならなくなるということです。

 更に、国民年金の納付も住民票の地域で納付が行われます。正しく住民票を移さないと、年金の納付もすることができなくなり、将来的にもらえる年金額が大幅に減ってしまう恐れもあります。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響③:再就職や転職が難しくなる

 まだまだデメリットはあります。これまで説明した通り、夜逃げによって身分証明書の更新が難しくなると、新たに就職することも難しくなります。就職・転職をするときには、多くの場合で、現住所の身分証明書を提示する必要があります。それができないとなると、再就職することも難しくなってしまいます。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響④:子供を学校に通わせるのが難しくなる

 もしあなたに子供がいる場合、住民票が移せていない状態では子供を新しい学校に転校させることも困難になります。

 厳密にいえば、中学校までの義務教育期間であれば子供には教育を受ける権利があるため、住民票を移せていなくても教育委員会に説明することで転校は可能なケースもあるようですが、義務教育ではない高校や大学については転校は困難になります。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響⑤:選挙に行くことができなくなる

 夜逃げをすると住民票を移すことができないため、当然選挙にも行くことができなくなってしまいます。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響⑥:携帯電話の契約が困難になる 

 新たに携帯電話を契約しようとすると、その際も身分証明書の提示が必要になります。 しかし、夜逃げをすると身分証明書の更新ができなくなるため、場合によっては携帯電話の契約が結べなくなってしまいます。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響⑦:利息や延滞金で借金や債務の金額がどんどん増えていく

 夜逃げをしたからといって、当然これまでの借金(債務)がリセットされるわけではありません。単に、あなたがどこに行ったか分からなくなったので取り立てができなくなっているというだけです。よって、借金はリセットされるどころか、支払いを滞納し続けている間の利息や延滞金がどんどん加算されていきます。もし何かの理由で債権者があなたの居場所を突き止めた場合、これまで以上に厳しい状況になってしまいます。

社長の夜逃げ・・・その後の家族生活への影響⑧:債権者に新しい住まいがバレると取り立てや督促が再開するという精神的負担に常に晒されることになる

 最後に、夜逃げをするとその後の生活では常に債権者にバレた時の恐怖が精神的な負担としてのしかかることになってしまいます。

 もし新しい居場所がバレてしまい取り立てが再開してしまえば、これまで以上に膨れ上がった借金を返し続けるか、あるいは再度夜逃げを繰り返すしかありません。よって、夜逃げをした人は、常に債権者の影に怯えながら生活することになってしまうのです。 この精神的な負担は計り知れません。

 このように、社長が借金を抱えたまま会社の倒産・破産手続きをせずに夜逃げをしてしまうと、社長自身や家族の日常生活に非常に大きな影響を及ぼすことになってしまいます。

会社倒産・破産危機に社長が夜逃げ・・・その後の会社や従業員への影響は?

会社倒産・破産危機に社長が夜逃げ・・・その後の会社や従業員への影響は?

 続いて、会社の倒産・破産手続きを行わずに借金を抱えたまま社長が夜逃げをしてしまった場合、その後会社や従業員に対してどのような影響が生じることになるのか解説していきます。

倒産前に社長が夜逃げ・・・従業員の給料が未払いの場合はどうなる?

 まず、会社が正式に倒産・破産した場合、その時点で従業員の給料が未払いになっていると、一定の額であれば国が未払い分を立て替えてくれる未払い賃金建て替え制度という制度が存在しています。詳しくは、従業員への未払い給与は、実は国が立て替えてくれる!では退職金は?倒産・破産による従業員への影響で解説しています。

 しかし夜逃げをするということは、会社が正式な倒産・破産手続きをしていないということです。その場合、未払いになっている従業員の給料はどうなるのでしょうか。

 結論から言うと、社長が夜逃げをしても会社が事実上倒産に当たると見なされれば、未払い賃金立替制度を利用し、支払いを受けることは可能です。

 しかし、社長が夜逃げをしていなくなってしまうと、残された従業員だけで労働基準監督署に会社が倒産状態にあることを説明しなければならなくなります。 その際に会社の支払い能力が無いことや賃金台帳、就業規則の提出など、様々な手続きが必要になりますが、社員だけでは手続きをすることが非常に難しくなります。その結果、最悪の場合は、未払い給与の支払いを受けられない恐れもあります。

 社長としては夜逃げをしてしまえば、関係の無い話かもしれませんが、これまで共に働いてきた従業員のためにも、正式に会社の倒産・破産手続きを行うことで従業員の未払い給与も支払うことが可能だと覚えておきましょう。

社長が夜逃げをすると従業員が正式に解雇してもらえず、雇用保険や年金、健康保険の切り替えが滞ってしまう

 また、社長が夜逃げをすることによって生じる従業員の未払い給料の問題だけではなく、社員は社長がいないことで正式に解雇してもらえず(退職できず)、離職票を受け取ることができなくなります。

 これは、地味に従業員のその後の生活に影響を与えます。この離職票が無いことで、従業員は、雇用保険や年金、健康保険の切り替えが滞ることになってしまいます。

会社の倒産・破産危機に社長が夜逃げをするメリットはないの?夜逃げ後に時効待ちで借金のリセットや踏み倒しは可能?

会社の倒産・破産危機に社長が夜逃げをするメリットはないの?夜逃げ後に時効待ちで借金のリセットや踏み倒しは可能?

 借金の返済は、5年あるいは10年経過時点で時効が成立します(細かい条件は諸々ありますが、ここでは詳しくは説明しません)。では、夜逃げをすることで、借金の時効成立を待てば借金はリセットできるのでしょうか?

社長の夜逃げで未払いの借金(債務)の時効待ちはできる?

 残念ながら、夜逃げを成功させて債権者に居場所を知られずに何年経過したとしても、借金返済の時効は現実的には成立しません。時効成立を狙って夜逃げをすることに意味はないといっても過言ではないのです。

確かに、未払いの借金の時効は5〜10年です。しかし、債権者側が裁判を起こし判決を取ることで、実は時効は簡単に引き延ばすことが可能なのです。

 そのため、仮にあなたが夜逃げをしたと債権者にバレると、債権者もあなたの住民票が残っている住所で裁判を起こし、判決をとって時効が成立しないよう対応をします。

 このように、一度夜逃げをして未払いの借金の時効待ちをしようとしても、時効が引き伸ばされていてできないことが一般的です。この点からも、夜逃げをして一定の時間が経過すれば借金がリセットできるわけでは無いため、夜逃げにメリットは無いということになります。

会社の倒産・法人破産費用が払えない場合は、夜逃げをせずにまずは弁護士に対応を相談!

 いかがでしたでしょうか。

会社の債務を背負って社長が夜逃げをしても、メリットは無く、かえってご自身やご家族の生活が非常に困難になってしまうことが理解できたかと思います。

会社の資金繰りが悪化し、債務(借金)が拡大し取り立てに追われてしまった時は、会社を倒産・破産させることが唯一の借金をリセットし再スタートを切れる方法です。そのためにも、しっかりと現状に向き合い、夜逃げという形で曖昧にしご自身の生活をかえって苦しいものにしてしまわないよう、早い段階で倒産・破産手続きに向けて弁護士に相談することを強くお勧めします。

また、会社の倒産・破産手続きを行うには一定の費用がかかります。会社の倒産・破産手続きや弁護士への依頼に必要な費用については、詳しく別の記事で解説しているので確認してみて下さい。そのため、この費用が支払えないために、倒産・破産させることができずに夜逃げを考えてしまう場合もあるかもしれません。

しかし、しっかりと弁護士に事情を説明することで、分割で費用を支払うことで手続きを進めてくれたり、会社に残っている財産を換価して破産費用として利用する方法を考えてくれたりと、弁護士に相談することで味方になって対応を考えてくれます。

まずは、安易に夜逃げという選択肢を取り、かえって生活を苦しくしてしまうのでは無く、会社の倒産や破産で債務の清算ができないか一度弁護士に相談することを強くお勧めします。

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

経営リスクバスターズでは、会社の倒産・破産を専門とする弁護士と協力し、経営者を守るプロの知識を発信しています。

  • 資金繰りが悪く、債権者からの取り立てに悩んでいる
  • 既に支払いの滞納が続いており、いつ差し押さえに合うのか不安
  • 会社を倒産させても、家族や従業員への影響は最小限に抑えたい
  • 会社が破産すると経営者の生活はどうなるのか分からない

これらの悩みを持つ方は、まずは弁護士に相談してみましょう!